クレイン・トータス新聞
トータス新聞1面記事
「ありがとう」の一言で!
2021-02-01
私がトータスで働き始め、早12年目になります。前職は老人保健施設で4年、介護職として16年目になろうとしています。
私が介護職を選んだ理由は、今で言うシングルマザーで当時、7歳と4歳の幼子を抱えていたのでパートでは生活が困難だと思い、求人広告の介護職員募集(託児所有)の掲載を見つけ、面接に行きました。
面接では「並大抵の仕事ではなく、大変な仕事ですが大丈夫ですか?」と聞かれ、私は子供達を育てるために、どんな大変な仕事でも子供を思えば、乗り越え、頑張れると自信があったので、「はい」と返答し、採用されました。
その後、配属になり一から仕事を教えていただくのですが、私は人一倍覚えが悪く、覚えてしまえば早いのですが、当時、指導していただいた職員さんは私より年が一回り下の方でしたが何度も怒られ注意されました。自分の覚えの鈍さに情けなくなり施設のトイレや帰宅途中の車内でどれだけ泣いたか。今でも時々思い出すことがあります。しかし、仕事にも慣れ始めた数ヶ月後のある日、徘徊は勿論、暴言、軽い暴力もある89歳のアルツハイマー型認知症のお婆さんと出会いました。長年働いている職員の方でも対応が難しいと話されていた方で、その方の介護をしていく中で、排泄、入浴、起床、その他の様々な介助の度、「ありがとう、ありがとうね。本当にありがとうね。」と何度も繰り返しお礼を言うようになりました。当時の私は、何が起こったのか分からなかったのですが、私自身がそれまで無我夢中で生活することだけを考え働いてきたのでお婆さんの「ありがとう」の言葉を聞き、今まで働いてきた自分は何だったんだろう。お婆さんの言ってくれた一言でこんなにも嬉しい、楽しい気分になるんだと充実感と共に介護職は私の天職だ!と思いました。それまでの自分は、朝から夕方、夜勤と決められたシフトの時間を労働すれば良いと思っていたのですが、介護とは奥深く、特に認知症のお年寄りは、本人が長い歳月をかけて蓄積して来られた大切な記憶や体験を、望んではいないのに失っていく。個人個人それぞれの要因がありますが、認知症の方の心を理解するのは難しいものであります。しかし、最も大切なことは認知症とは病気であることを理解し、症状としてどんな表れ方をして、それはどのように変化していくのか。などを知ることが日々のご利用者と関わることで多く見えてきます。認知症の方は、様々な不安を抱え周囲への配慮が出来にくく、時にわがままで自己中心的な印象を与えますが、それも不安や恐怖感、思うように出来ない苛立ちなどが増え、病気がかなり進んでも、感情機能と共に、ご本人のプライドは保たれていることが多いように思います。それは、解消されないストレスがあるのであって、冷静に考えると分かることも不可解な行動だけに目を奪われてしまうと見えてこないものがあるように思います。認知症は、あくまでも脳の病気により脳の機能が欠落した症状を指しますが、その症状に伴う心や感情の問題が大きな比重を占めているとも思います。このため、病気が進行していくことに不安や悩みなど心理的な問題を言葉として伝えにくくなったもどかしさなども見られ、家族や介護者は思いやり、共感的な態度で接することが大切ではないかと思いました。
新型コロナウイルスが流行し、ご利用者も家族とのご面会が直接では難しくなり、何か月も会えずお互いに寂しい思いをしていることと思います。今は職員が一番ご利用者に接し、関わり、頼れる存在でなければならないと思います。施設では勿論、私生活でも、手洗い・うがい・消毒・三密回避と感染を防ぐために充分、行動に気をつけ、行っておりますが、神経を使いすぎて時々軽いストレス気味になることがあります。そんな時は、日々のご利用者との関わりと一日に必ず数回聞こえる「ありがとう!ありがとうね!」の言葉をいただき、パワーを蓄えます。こちらこその「ありがとうございます」です!
これから先、新型コロナウイルスもいつ終息するか分かりませんが、私自身の健康管理に気を付け、ご利用者を思いやり、無理をせず関わりを大切に頑張りたいと思います。
私が介護職を選んだ理由は、今で言うシングルマザーで当時、7歳と4歳の幼子を抱えていたのでパートでは生活が困難だと思い、求人広告の介護職員募集(託児所有)の掲載を見つけ、面接に行きました。
面接では「並大抵の仕事ではなく、大変な仕事ですが大丈夫ですか?」と聞かれ、私は子供達を育てるために、どんな大変な仕事でも子供を思えば、乗り越え、頑張れると自信があったので、「はい」と返答し、採用されました。
その後、配属になり一から仕事を教えていただくのですが、私は人一倍覚えが悪く、覚えてしまえば早いのですが、当時、指導していただいた職員さんは私より年が一回り下の方でしたが何度も怒られ注意されました。自分の覚えの鈍さに情けなくなり施設のトイレや帰宅途中の車内でどれだけ泣いたか。今でも時々思い出すことがあります。しかし、仕事にも慣れ始めた数ヶ月後のある日、徘徊は勿論、暴言、軽い暴力もある89歳のアルツハイマー型認知症のお婆さんと出会いました。長年働いている職員の方でも対応が難しいと話されていた方で、その方の介護をしていく中で、排泄、入浴、起床、その他の様々な介助の度、「ありがとう、ありがとうね。本当にありがとうね。」と何度も繰り返しお礼を言うようになりました。当時の私は、何が起こったのか分からなかったのですが、私自身がそれまで無我夢中で生活することだけを考え働いてきたのでお婆さんの「ありがとう」の言葉を聞き、今まで働いてきた自分は何だったんだろう。お婆さんの言ってくれた一言でこんなにも嬉しい、楽しい気分になるんだと充実感と共に介護職は私の天職だ!と思いました。それまでの自分は、朝から夕方、夜勤と決められたシフトの時間を労働すれば良いと思っていたのですが、介護とは奥深く、特に認知症のお年寄りは、本人が長い歳月をかけて蓄積して来られた大切な記憶や体験を、望んではいないのに失っていく。個人個人それぞれの要因がありますが、認知症の方の心を理解するのは難しいものであります。しかし、最も大切なことは認知症とは病気であることを理解し、症状としてどんな表れ方をして、それはどのように変化していくのか。などを知ることが日々のご利用者と関わることで多く見えてきます。認知症の方は、様々な不安を抱え周囲への配慮が出来にくく、時にわがままで自己中心的な印象を与えますが、それも不安や恐怖感、思うように出来ない苛立ちなどが増え、病気がかなり進んでも、感情機能と共に、ご本人のプライドは保たれていることが多いように思います。それは、解消されないストレスがあるのであって、冷静に考えると分かることも不可解な行動だけに目を奪われてしまうと見えてこないものがあるように思います。認知症は、あくまでも脳の病気により脳の機能が欠落した症状を指しますが、その症状に伴う心や感情の問題が大きな比重を占めているとも思います。このため、病気が進行していくことに不安や悩みなど心理的な問題を言葉として伝えにくくなったもどかしさなども見られ、家族や介護者は思いやり、共感的な態度で接することが大切ではないかと思いました。
新型コロナウイルスが流行し、ご利用者も家族とのご面会が直接では難しくなり、何か月も会えずお互いに寂しい思いをしていることと思います。今は職員が一番ご利用者に接し、関わり、頼れる存在でなければならないと思います。施設では勿論、私生活でも、手洗い・うがい・消毒・三密回避と感染を防ぐために充分、行動に気をつけ、行っておりますが、神経を使いすぎて時々軽いストレス気味になることがあります。そんな時は、日々のご利用者との関わりと一日に必ず数回聞こえる「ありがとう!ありがとうね!」の言葉をいただき、パワーを蓄えます。こちらこその「ありがとうございます」です!
これから先、新型コロナウイルスもいつ終息するか分かりませんが、私自身の健康管理に気を付け、ご利用者を思いやり、無理をせず関わりを大切に頑張りたいと思います。
特別養護老人ホームトータス
3F介護職員 鈴木恵子