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クレイン・トータス新聞

トータス新聞1面記事

この春風とともに

2019-04-01
H3104トータス新聞
 寒さが和らいできた今日この頃。花粉症の人にはつらい時期になってきましたがそれとともに植物が芽を出し、春の息吹が感じられます。
 3年前の春風を感じる頃、祖父に認知症の症状が出始めました。祖母が亡くなり、一周忌を終えてから気がぬけてしまったようです。同居はしておらず、母から話を聞きました。きっかけは食事の作り方が分からなくなってしまったことです。米の炊き方が分からなかったり、ガスコンロの火がつけっぱなしになっていたりしていて、母がとても心配していました。それから母が2~3日に1回は祖父の所へ行き、その日の食事や翌日の食事の作り置きをしていました。自分にできることは何かと考えました。介護の仕事をしているとはいえ、まだ身体的な介助は必要なかったからです。なので、祖父の所へ行き話をするぐらいのことしかできませんでした。あまりにも無力な自分に、腹が立ちます。身内の介護もろくにできないのに介護の仕事をしている意味があるのだろうかと自問自答の毎日でした。
 それでも日に日に症状は進行していきます。病院への受診やデイサービスなどを勧めても、「そんな所へは行かない」と言います。私の頑固な所は祖父に似たんだなと思いました。
 暑い日も寒い日も昼夜関係なく外に出歩き母が来るのを待っている祖父を、近所の方たちがサポートしてくれました。近所付き合い、地域交流の大切さを改めて感じました。
 祖父は次第に歩くのも大変になってきて、訪問入浴のサービスを使うようになりました。拒否が強く入らない時もありますが、週に1回は入れるようになりました。そのとき、訪問入浴の方に「自分の孫も介護をやっている。自慢の孫だ」と話しているそうです。こんな私をそう思ってくれる祖父が大好きです。以前よりも一緒に食事をすることが増えました。祖父のことを今以上に知り、何がしたいのか何をやりたいのかを考え、喜ぶことをしていきたいです。そんな時、母が家に帰ってきた途端に私の部屋へ来て、祖父とケンカしてきたと声を震わせ、今にも泣いてしまいそうな声で話してきました。「言うことも聞いてくれないし、わがままばかり言う」と話します。母はまだ仕事もしており、職場と実家の往復に疲れていました。
 月日が経ち、今から1年程前、母から人間ドッグを受けてガンが見つかったと言われました。そんな母は自分の心配よりも入院している間祖父の面倒が見れないことを心配していました。幸い早期発見だったので、2週間ほどで退院できる予定でしたが、祖父の心配は分かるけど、自分の心配もして欲しいと思いました。「祖父は俺が見に行くから大丈夫」と言うと、母も安心したと言い泣いていました。母の涙を初めて見ました。人前で泣いたりしたことがなかった母を見て、安心して手術を受けれるようにしてあげたいと思いました。祖父に母が入院することを話すと、心配してしまうので言いませんでした。
 母が入院し、仕事終わりに祖父の家へ行くようになりました。私は料理など大して作れないので、スーパーの惣菜などを買って、一緒に食事をしていました。入院中の母の所へお見舞いに行くと、予定通り退院できると嬉しそうに話してくれました。祖父は大丈夫だから心配ないと言うと、安心してくれました。
 退院後の母は傷口が開く可能性があるので、しばらくは重い物や車の運転などはできませんので、母と買い物に行き、祖父の所へ一緒に行くことが多くなりました。買い物中母を見て、こんなにも小さい背中だったかなと思いました。祖父も両親も護っていかなければいけないと再認識しました。
 現在、母はガンの再発もなく今まで通りの生活が送れています。いつも通りの生活が送れる幸せ、安心できる環境を利用者様に提供し続けることにつなげていきたいです。
 今年の桜を祖父に見せたくて一緒に花見に連れて行きたいと思っています。小さい頃に連れて行ってもらったあの川沿いを一緒に歩きたいと思います。
2F介護長 岡本 達也
医療法人社団得心会
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