クレイン・トータス新聞
トータス新聞1面記事
地区福祉総合相談センター始動しました!
2022-05-01
今年の春も、桜が終わってしまいました。鶴舞公園に向かって走る車窓から道沿いの桜と、鶴舞公園の高台にある桜、そして菜の花が見える景色を楽しむ時期も終わり、今年も新型コロナ流行の影響で思いっきり花見を楽しむことが難しい新年度のスタートとなってしまいました。
私個人としては、車窓からみえる美しい桜並木で十分花見を満喫した気分になれました。
私たち地域包括支援センタートータスも、委託当初から十四年間、センター長として私達職員を引っ張ってきてくれていた近藤センター長がセンター長職を退かれ、4月より木村が勤めさせていただくこととなりました。まだ前センター長の後任としてはあまりにも力不足でありますが、日々精進してまいりたいと思います。
ただ、不安なことだけではありません。今年度から復帰した佐藤を始め、近藤、阿二、若林、昨年途中からげんき館より加わってくれた鶴岡、事務の木内と7人のメンバーで業務をこなすことができます。
また、市から委託を受けている、地域包括支援センターの業務も、新しい業務が加わりました。本年度より、「重層的支援体制整備事業」の一環として、市内9カ所の地域包括支援センターが「地区福祉総合相談センター」としての役割も担うこととなりました。
昨年度から市役所の方で「福祉総合相談センター」が設置されておりましたが、今年度から各地区にも設置することになりました。
そもそも「重層的支援体制整備事業」という言葉自体、聞きなれないと思われます。
「8050(はちまるごうまる)問題」という言葉は聞いたことがあるでしょうか。8050問題は、引きこもりが長期化し、引きこもり状態の子の親が高齢となったとき、収入や介護等問題が出てきてしまうことです。引きこもりの子は、何かしらの原因で社会とかかわること
が出来ない状態。せいぜい、近所に買い物に行く程度。仕事をすることができません。親は、若いうちは仕事をして、子どもの生活費を負担していくことができます。しかし高齢になり収入が年金のみとなった時、生活費の問題が出てきます。例えば親が国民年金を満額受給していたら、毎月約6万5千円で親子の生活費を賄わなければなりません。その生活費の中にはもちろん親・子の国民健康保険や国民年金等の税金、病院等へ行く費用、車を所持していれば車検やガソリン代も入っています。
さらに、親に介護が必要となったとき、何十年も社会と関わることができなかった子が親に介護サービスを受けさせるよう手続きをとることができるか?親が亡くなった時、生活費はどうなるのか…等様々な問題が雪だるま式に積み重なり大きくなっていきます。
ちなみに、引きこもった子が50代まで引きこもりを継続していれば、親は80代ぐらい。 この年代の数字から8050問題と言われています。
「ダブルケア」という問題もあります。今は「女は結婚して家庭に入る」だけの選択肢だけでなくなってきたおかげで、女性がどんどん社会進出をしていっています。結婚時期も、「30歳までに…」という縛り(?)のようなものも薄れ、自分のライフスタイルに合わせて結婚時期を考える方が増えています。それは喜ばしいことである一方、出産時期が遅めになってしまった、もしくは遅めにした影響等で、自分の可愛い子どもを育てる時期と、自分の成長を見守ってくれた親の介護の時期が同時期に来てしまう、「ダブルケア」の問題が生じてしまう場合もあります。
子育ても、介護も協力してくれる兄弟等がいればよいのですが、遠方に住んでいるためなかなか介護に協力できなかったり、もともと一人っ子で頼る兄弟がいない場合などもあります。昭和のころのように、近所の人に気軽にお願いできる関係性があればよいのですが、今の時代、ご近所の方とそこまで関係性がない方が多いのが実情です。
これらの問題を筆頭に、現代社会は複雑・多様な生きづらさやリスクを抱える個人・世帯が増えています。また核家族化、少子化等家族の形態の変化、外国人の増加等による地域の構成員や価値観が多様化しています。さらに2019年の台風15号、19号等のような大規模な災害が多発し、災害時の孤立が問題となっています。
しかし今までの福祉は、制度・分野ごとに分かれていて、高齢者は高齢者専門の相談窓口(今までの包括やケアマネジャー)子どもは子ども専門の相談窓口(児童相談所や学校)障がい者は障がい者専門の相談窓口(障害相談支援事業所等)の「縦割り」であり、且つ、「支える側」と「支えられる側」が明確に線引きされていました。
そのため、担当以外の相談が入っても、「その件は〇〇に行ってください」と案内するだけとなってしまい、色々な相談場所へ行かなくてはならなかったり、相談をあきらめてしまったり、宙に浮いた状態になることがありました。
また、高齢化により、高齢者等「支えられる側」の人数が増えて「支える側」が不足してしまう状態にもなってきています。
こういった状況を踏まえて、国は今までの「支えられる側」「支える側」という枠組みを超えて、「支えられる側」も支援をうけながらも「支える側」になる。例えば、買いものは隣の人に行ってもらう(支えられる)けど、ごはんが作れない隣の人にごはんを作ってあげる(支える)ように、助け合いながら暮らしていく。その中で人と社会がつながり、生きがいや役割をもつ社会である『地域共生社会』の実現を目指しています。
そしてこの地域住民が主役となる「地域共生社会」に、地域の人がくまなく参加・主役になれるよう、地域の人が抱える複雑・多様な問題に対応し、かつ地域特性や地域の問題を掘り起こし、住みやすい地域となるようつなげていくために、「重層的支援体制整備事業」が創設されました。
この重層的支援体制整備事業は3つの柱からなっています
①断らない相談支援…本人・世帯の属性にかかわらず受け止
める相談支援
②参加支援…本人・世帯の状態に合わせ、地域資源を活かしながら、就労支援、居住支援などを提供することで社会とのつながりを回復する支援
③地域づくりに向けた支援…地域社会からの孤立を防ぐとともに、地域における多世代の交流や多様な活躍の機会と役割を生み出す支援
私達地域包括支援センタートータスも、地区福祉総合相談センターとして、まず「断らない相談支援」の窓口として、高齢者だけでない「福祉のなんでも相談窓口」として活動していきます。特に複雑・多様な問題を抱えている人に対して、支援者と本人とが継続的なつながり・関わり合いながら、本人と社会・他者との関係を広げていけるよう支援していきます。そしてそれが地域全体のコミュニティの発展・孤立化防止につながるよう活動していきます。
まだまだ、私たちも暗中模索の状態ではありますが、これからもこの地域の住民の方々と一緒に問題を解決し、より住みやすい地域となるよう努めていきたいと考えております。
私個人としては、車窓からみえる美しい桜並木で十分花見を満喫した気分になれました。
私たち地域包括支援センタートータスも、委託当初から十四年間、センター長として私達職員を引っ張ってきてくれていた近藤センター長がセンター長職を退かれ、4月より木村が勤めさせていただくこととなりました。まだ前センター長の後任としてはあまりにも力不足でありますが、日々精進してまいりたいと思います。
ただ、不安なことだけではありません。今年度から復帰した佐藤を始め、近藤、阿二、若林、昨年途中からげんき館より加わってくれた鶴岡、事務の木内と7人のメンバーで業務をこなすことができます。
また、市から委託を受けている、地域包括支援センターの業務も、新しい業務が加わりました。本年度より、「重層的支援体制整備事業」の一環として、市内9カ所の地域包括支援センターが「地区福祉総合相談センター」としての役割も担うこととなりました。
昨年度から市役所の方で「福祉総合相談センター」が設置されておりましたが、今年度から各地区にも設置することになりました。
そもそも「重層的支援体制整備事業」という言葉自体、聞きなれないと思われます。
「8050(はちまるごうまる)問題」という言葉は聞いたことがあるでしょうか。8050問題は、引きこもりが長期化し、引きこもり状態の子の親が高齢となったとき、収入や介護等問題が出てきてしまうことです。引きこもりの子は、何かしらの原因で社会とかかわること
が出来ない状態。せいぜい、近所に買い物に行く程度。仕事をすることができません。親は、若いうちは仕事をして、子どもの生活費を負担していくことができます。しかし高齢になり収入が年金のみとなった時、生活費の問題が出てきます。例えば親が国民年金を満額受給していたら、毎月約6万5千円で親子の生活費を賄わなければなりません。その生活費の中にはもちろん親・子の国民健康保険や国民年金等の税金、病院等へ行く費用、車を所持していれば車検やガソリン代も入っています。
さらに、親に介護が必要となったとき、何十年も社会と関わることができなかった子が親に介護サービスを受けさせるよう手続きをとることができるか?親が亡くなった時、生活費はどうなるのか…等様々な問題が雪だるま式に積み重なり大きくなっていきます。
ちなみに、引きこもった子が50代まで引きこもりを継続していれば、親は80代ぐらい。 この年代の数字から8050問題と言われています。
「ダブルケア」という問題もあります。今は「女は結婚して家庭に入る」だけの選択肢だけでなくなってきたおかげで、女性がどんどん社会進出をしていっています。結婚時期も、「30歳までに…」という縛り(?)のようなものも薄れ、自分のライフスタイルに合わせて結婚時期を考える方が増えています。それは喜ばしいことである一方、出産時期が遅めになってしまった、もしくは遅めにした影響等で、自分の可愛い子どもを育てる時期と、自分の成長を見守ってくれた親の介護の時期が同時期に来てしまう、「ダブルケア」の問題が生じてしまう場合もあります。
子育ても、介護も協力してくれる兄弟等がいればよいのですが、遠方に住んでいるためなかなか介護に協力できなかったり、もともと一人っ子で頼る兄弟がいない場合などもあります。昭和のころのように、近所の人に気軽にお願いできる関係性があればよいのですが、今の時代、ご近所の方とそこまで関係性がない方が多いのが実情です。
これらの問題を筆頭に、現代社会は複雑・多様な生きづらさやリスクを抱える個人・世帯が増えています。また核家族化、少子化等家族の形態の変化、外国人の増加等による地域の構成員や価値観が多様化しています。さらに2019年の台風15号、19号等のような大規模な災害が多発し、災害時の孤立が問題となっています。
しかし今までの福祉は、制度・分野ごとに分かれていて、高齢者は高齢者専門の相談窓口(今までの包括やケアマネジャー)子どもは子ども専門の相談窓口(児童相談所や学校)障がい者は障がい者専門の相談窓口(障害相談支援事業所等)の「縦割り」であり、且つ、「支える側」と「支えられる側」が明確に線引きされていました。
そのため、担当以外の相談が入っても、「その件は〇〇に行ってください」と案内するだけとなってしまい、色々な相談場所へ行かなくてはならなかったり、相談をあきらめてしまったり、宙に浮いた状態になることがありました。
また、高齢化により、高齢者等「支えられる側」の人数が増えて「支える側」が不足してしまう状態にもなってきています。
こういった状況を踏まえて、国は今までの「支えられる側」「支える側」という枠組みを超えて、「支えられる側」も支援をうけながらも「支える側」になる。例えば、買いものは隣の人に行ってもらう(支えられる)けど、ごはんが作れない隣の人にごはんを作ってあげる(支える)ように、助け合いながら暮らしていく。その中で人と社会がつながり、生きがいや役割をもつ社会である『地域共生社会』の実現を目指しています。
そしてこの地域住民が主役となる「地域共生社会」に、地域の人がくまなく参加・主役になれるよう、地域の人が抱える複雑・多様な問題に対応し、かつ地域特性や地域の問題を掘り起こし、住みやすい地域となるようつなげていくために、「重層的支援体制整備事業」が創設されました。
この重層的支援体制整備事業は3つの柱からなっています
①断らない相談支援…本人・世帯の属性にかかわらず受け止
める相談支援
②参加支援…本人・世帯の状態に合わせ、地域資源を活かしながら、就労支援、居住支援などを提供することで社会とのつながりを回復する支援
③地域づくりに向けた支援…地域社会からの孤立を防ぐとともに、地域における多世代の交流や多様な活躍の機会と役割を生み出す支援
私達地域包括支援センタートータスも、地区福祉総合相談センターとして、まず「断らない相談支援」の窓口として、高齢者だけでない「福祉のなんでも相談窓口」として活動していきます。特に複雑・多様な問題を抱えている人に対して、支援者と本人とが継続的なつながり・関わり合いながら、本人と社会・他者との関係を広げていけるよう支援していきます。そしてそれが地域全体のコミュニティの発展・孤立化防止につながるよう活動していきます。
まだまだ、私たちも暗中模索の状態ではありますが、これからもこの地域の住民の方々と一緒に問題を解決し、より住みやすい地域となるよう努めていきたいと考えております。
地域包括支援センタートータス
センター長 木村 由起子